「丹波」といえば栗・松茸・黒豆・丹波焼など「おいしい農産物がとれる地域」としてブランドの価値が高い地域です。その起点でもあります篠山市において現在名称変更で大きく揺れています。市民を2分するほどの問題となっております。
ことの発端は「丹波市」ができたことにあります。
篠山市は兵庫県多紀郡の篠山町、西紀町、丹南町・・今田町の4町が合併して、新・篠山市が誕生しました。平成の大合併では全国で1番最初に登録されました。
篠山市が発足してから5年後、今度は篠山市の西隣に位置する氷上郡柏原町・氷上町・青垣町・春日町・山南町・市島町の6町が合併。新たに丹波市として市制を施行しました。
丹波市の誕生により、“丹波”のブランドイメージが丹波市独自のものと解釈されるようになったのです。そのため、篠山市の情緒ある城下町や丹波の黒豆の産地という、篠山市のイメージが薄れました。ブランドイメージが薄くなれば、観光業や地場産業にも大きな影響を及ぼし、経済的なマイナスも出てきます。
篠山市長の「市長日記」2018年4月17日より
1:混乱事例
本来、「丹波篠山」は丹波の国の篠山を指す呼称として、古くから全国でも広く知られ、親しみと誇りをもって使われてきました。 しかし、最近では「丹波」がどこを指すのかが不明瞭になり、大きな混乱を招いているばかりか、「丹波篠山」は、丹波市と篠山市の両方を指すものとして誤解される事例が広がってきています。
【行政に関する事例】 ・篠山市では、丹波篠山デカンショ節や丹波焼により、日本遺産のまちとして認められ、その魅力を全国にPRしているが、「篠山市」というだけでは、この丹波篠山が篠山に結びつかない。
【観光に関する事例】 ・インターネットで丹波篠山を検索すると、丹波市の情報が出てきている。 ・篠山市に行こうと思っていた観光客が間違って丹波市を訪れていた。 【特産・ブランドに関する事例】 ・「丹波の黒豆」の本場が丹波市だと誤解され、テレビの番組でも取り上げられている。 【報道・メディアに関する事例】 ・丹波篠山を「丹波市と篠山市のこと」と混同し、アナウンスされている。
【その他の事例】 ・関西圏以外では篠山市のことを「しのやまし」と間違って呼ばれることが多く、「丹波篠山」と「丹波」と付けると、理解されることが多い。
2:アンケート結果 ■調査方法 : インターネットリサーチモニターに対するweb調査 ■調査対象地域 : 東京23区、愛知県名古屋市、大阪市、京都府、兵庫県(篠山市・丹波市を除く)、福岡県福岡市 ■調査対象者 : 各地域1000人、合計6000人の20歳以上の男女 ■回収率 : 100%
Q:「丹波篠山」とはどこのことですか?
丹波市、篠山市の両方 44.7% 篠山市のこと 23.1% 丹波市のこと 13.6%
丹波篠山が「丹波市と篠山市の両方を指している」という認識が急速に広まっていると懸念されます。特に、世代別の40歳以下の若い年代の正解率が低いことは、将来に向けた不安要素となっています。
Q:「地域ブランド」や「特産品」「土産品」を購入する際、次にあげる産地表示の場合、どちらを買いたいですか?
●その1:【A丹波篠山産:B篠山市産の場合】
丹波篠山産がよい 28.8% どちらかといえば丹波篠山産がよい 57.7% どちらかといえば篠山市産がよい 11.4% 篠山市産がよい 2.1%
●その2:【A篠山市産:B丹波市産の場合】 篠山市産がよい 7.1% どちらかといえば篠山市産がよい 35.3% どちらかといえば丹波市産がよい 47.5% 丹波市産がよい 10.1%
●その3:【A丹波篠山産:B丹波市産の場合】 丹波篠山産がよい 25.2% どちらかといえば丹波篠山産がよい 53.3% どちらかといえば丹波市産がよい 17.2% 丹波市産がよい 4.3%
丹波篠山ブランドは、篠山市ブランドよりもはるかに優位です。他方で、篠山市ブランドでは、丹波市ブランドにも15.2ポイントも離されています。
3:市名変更による経済波及効果 ≪地域経済への影響は52億円以上≫ 丹波篠山ブランドの減価による経済的損失額 23億3000万円
丹波篠山というブランド力があることで、他産地と比較して販売価格が高くなっています。特産の中でコシヒカリ、黒大豆、黒枝豆、大納言小豆、栗、山の芋の農産物と丹波篠山牛、猪の肉類に絞って効果を算出しました。
現在の混乱状況が続くと丹波篠山産の優位性が低下します。仮に10年の期間で地名ブランド力を徐々に失うと仮定して、その金額を算出しました。 経済波及効果額 28億7000万円以上
同様のアンケート調査により、篠山市を訪れる観光客の訪問回数や消費額と、市名変更による消費額の増減率から、算出した市名の変更後における推計消費純増額(市名変更による消費額の増加分)は85億6810万円となります。
ここから、市名変更による変化を少しでも正しく表すため、訪問確立の高い人の割合22.7%を乗じてより現実的な数字に近づけました。その結果の増加額は19億4500万円となりました。この増加は単に食事、飲酒、土産物、入館料および宿泊料などとして増加するだけでなく、これら商品やサービスにかかる仕入れや雇用などを誘引します。
そこで、これらの波及効果の指標である産業連関表を用いて、間接効果額を含むと総計28億7000万円以上となり、その効果はすべての業種に及ぶ結果となりました。
4:「丹波篠山市へ変更する場合」のメリット・デメリット ―市民の視点― 【メリット】
・全国で広く通じる。 (篠山市といっても通じないが、丹波篠山といえば分かってもらえる。) (「しのやまし」と読み間違いが減る。) ・まちの活性化により市民生活が向上する可能性がある。 (丹波篠山の自然豊か、美しい、おいしい農産物、歴史・文化的など魅力的なイメージにより、人が定住し、活性化する可能性がある。) (市町村合併以外での市名変更によるPR効果が期待できる。)
【デメリット】 ・負担感がある。長い市名は書きにくい。 ・住所変更などの手続きが面倒。 ・使い慣れて愛着がある。 ・「丹波」という言葉に田舎で不便というイメージをもつ人がいる。
―企業・事業者の視点― 【メリット】 ・特産物販売の増が見込まれる。 (丹波篠山産で今後も積極的に売り出すことができる。) ・観光収入の増が見込まれる。 ・多くの企業などに経済波及効果がある。 (農業、観光業に限らず、広く経済効果が波及する。)
【デメリット】 ・経費や労力がかかる。
―行政の視点―
【メリット】 ・地理的にイメージしやすい。 ・農都、日本遺産のまちなど魅力をよりPRできる。 ・まちの活性化により市民生活が向上する可能性がある。 ・ふるさと納税が増える可能性がある。
【デメリット】 ・新市名の定着に時間と労力がかかる。 ・約7000万円の経費がかかる。
となっております。
隣町の丹波市にブランドイメージを奪われているのが問題なのでしょうね。
丹波市と篠山市の商工会がとても仲悪いということを聞いたことがあります。
もともと「丹波国」は兵庫・京都をまたいでおります。
【丹波】で検索してみたら見事に丹波市に関する情報が上位を占めています。
続いて京丹波町。篠山の情報はなかなか見つかりません。
若い人だけでなく情報を収集しようと思う場合検索優位になりますよね。
8月1日に市長が「丹波篠山市」への正式な変更を発表いたしました。
近々改名の有無に関する住民投票が行われることも決まりました。
私個人としまして丹波篠山市のほうが農産物のアピールしやすいので改名を有難いですが、それよりも生産者の高齢化・担い手不足の解消をなんとかしないとと思って活動しております。
0コメント